錆び付いたこの空に何を願う？
水は腐り、荒れ果てた大地
空を飛び交う者はない
大地を踏む者もない
水にのり泳ぐ者もない
いつからこの世界は崩れ始めたのだろう
砂時計のようにサラサラと、
この世界は崩壊の時を告げている
風は吹くのをやめた
海はさざなむのもやめた
全てが動きを止めてしまった
ただ崩れ落ちるだけ
歌うことを忘れた濁った瞳よ
いつかの栄光も色褪せた夢よ
輝く翼を失った旅人よ
その両手ですくい上げられるものは
一握の砂塵ばかり
枯れた泉に這いつくばって
水を求める愚者
枯れた森を這いずり回って
食べ物を求める愚者
日の光を求めていくら手を伸ばそうと、
そこにあるのは空虚ばかり
とうの昔に光は失った
全てを失った…
ならば
お前が【光】となれ
その手で差し示すのだ
薫風よ舞え
大地よ芽吹け
空よ光り輝け
皆息を吹き返した
大地は緩やかに揺れる
風は頬を撫で、
空は静かに流れはじめた
地の底から何かを呟きながら、
泉が湧き出でる
私のこの胸の様に
高まりを押さえられない
時は再び流れ始めた
もう誰にも止められない
せき止められていた水のように
獅子のように
勢いを増して流れ始めたのだ
世界は再び呼吸を始めた
胸一杯に息を吸って
そっと吐いて……
空には雲が浮かび、
そして人々が待ち焦がれた光が
地上を照らす
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